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大阪市で生活保護を受けている方の葬儀|葬祭扶助制度を解説
生活保護を受給している方やそのご家族が亡くなった際、葬儀費用の心配から「きちんとしたお見送りができないのではないか」と不安に感じる方は少なくありません。しかし、大阪市では葬祭扶助制度を利用することで、喪主の経済的負担なく故人を送ることが可能です。
本記事では、大阪市における生活保護葬儀(福祉葬・民生葬)の制度内容や申請方法、利用できる範囲や注意点まで詳しく解説します。葬祭扶助の対象となる条件や、実際の葬儀の流れも具体的にご紹介します。万が一の際の備えとしてお役立てください。
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生活保護葬儀(福祉葬・民生葬)とは
生活保護葬儀は、葬祭扶助制度を利用して執り行う葬儀のことで、「福祉葬」「民生葬」とも呼ばれます。生活保護法に基づき、葬儀費用を支払う能力のない方に対して、必要最小限の葬儀費用を自治体が支給する仕組みです。
この制度により、経済的な理由で葬儀を執り行えない方でも、故人を尊厳を持って送ることができます。生活保護受給者が喪主となる場合や、故人が生活保護を受給していて引き取り手がいない場合などに適用される制度となっています。
葬祭扶助制度の目的
葬祭扶助制度の目的は、経済的困窮により葬儀を執り行うことが困難な方を支援し、故人を適切に送り出せるよう社会的に保障することにあります。
どのような経済状況にある方でも、故人を尊厳を持って送る権利があります。葬祭扶助制度は、この理念を実現するために設けられた社会保障制度のひとつです。生活保護受給者が喪主となるケースだけでなく、故人が生活保護を受給していた場合にも適用されます。
最低限度の葬儀を保障することで、経済的な理由によって遺体の処理が適切に行われないといった事態を防ぐ役割も担っているのです。
大阪市における葬祭扶助の特徴
大阪市では24区すべてで葬祭扶助制度を利用できる体制が整っています。大阪市営の葬儀場を使用する場合、式場使用料が無料となるケースもあり、喪主の経済的負担を大きく軽減できます。
大阪市は人口が多く生活保護受給者数も多いため、福祉葬に対応できる葬儀社が多く存在する点も特徴です。多くの葬儀社が葬祭扶助制度に精通しており、申請から葬儀実施までスムーズに進められる環境が整っています。
また、各区の福祉事務所が窓口となって申請を受け付けているため、居住区での相談・手続きが可能です。ケースワーカーとの連携も取りやすく、必要なサポートを受けながら葬儀の準備を進められるでしょう。
葬祭扶助を利用できる条件
葬祭扶助を受けるには一定の条件を満たす必要があります。主に「喪主が生活保護を受給している場合」と「故人が生活保護を受給していた場合」の2つのパターンがあり、それぞれ適用要件が定められています。詳しく見てみましょう。
喪主が生活保護を受給している場合
喪主が生活保護を受給していて、葬儀費用を支払う資力がない場合、葬祭扶助が適用されます。喪主自身が葬祭扶助の申請を行い、支給される金額の範囲内で葬儀を執り行う形です。
申請時には福祉事務所による審査が行われ、以下のような点が確認されます。
- 喪主に葬儀費用を賄える預貯金や資産がないこと
- 親族など他に葬儀費用を負担できる扶養義務者がいないこと
- 必要最低限の葬儀内容であること
喪主と故人の関係性も確認され、配偶者や子などの直系親族であることが一般的です。ただし、親族がいない場合でも、故人と生前に深い関わりがあった方が喪主となり、葬祭扶助を申請できるケースもあります。
葬祭扶助の範囲内であれば、喪主の自己負担は一切発生しません。葬儀費用は福祉事務所から葬儀社へ直接支払われるため、喪主が一時的に費用を立て替える必要もないのが特徴です。
故人が生活保護を受給していた場合
故人が生活保護を受給していて、遺族や扶養義務者が葬儀費用を支払えない場合にも葬祭扶助が適用されます。故人に身寄りがなく、誰も葬儀を執り行う者がいない場合は、自治体が葬儀を手配する仕組みです。
この場合、まず故人の遺留金や資産の有無が確認されます。故人に預貯金や換金可能な資産がある場合は、その金額が葬儀費用に充てられ、不足分について葬祭扶助が適用される形です。
遺族がいる場合でも、その遺族が生活保護を受給していない場合は、遺族の収入状況が審査されます。遺族に葬儀費用を負担できる経済力があると判断された場合は、葬祭扶助の対象とならないことがあります。
また、故人が生活保護を受給していても、扶養義務者(子や孫など)に十分な収入や資産がある場合は、まずその扶養義務者に葬儀費用の負担を求められるのが一般的です。扶養義務者も経済的に困窮している場合に、葬祭扶助が適用される仕組みです。
申請が認められないケース
葬祭扶助は経済的に困窮している方を支援する制度であるため、一定の資力がある場合は申請が認められません。以下のようなケースでは、葬祭扶助の対象外となります。
故人に遺留金や資産があり、それで葬儀費用を賄える場合は、まずその資産を使用することが求められます。例えば、故人の預貯金が20万円以上ある場合などは、葬祭扶助を受けられないことがあります。
また、扶養義務者に十分な収入や資産がある場合も、葬祭扶助の対象外です。生活保護を受給していない成人の子がいて、その子に定期的な収入がある場合などは、まずその子が葬儀費用を負担することが原則です。
最も重要な注意点として、すでに葬儀を執り行った後に申請した場合は、原則として葬祭扶助の対象になりません。葬祭扶助は事前申請が必須となっているため、必ず葬儀の前に福祉事務所へ連絡し、申請手続きを行う必要があります。
大阪市の葬祭扶助で支給される金額
大阪市における葬祭扶助の基準額は、必要最小限の葬儀を執り行うために必要な費用として算定されています。大人の場合で概ね20万円前後が上限とされており、この範囲内で葬儀に必要な各項目の費用が賄われます。支給されるものとされないものをそれぞれ見てみましょう。
支給される費用に含まれるもの
葬祭扶助で支給される費用には、葬儀を執り行うために最低限必要な項目が含まれています。具体的には以下のような費用が対象となります。
病院や施設から安置場所、安置場所から火葬場までの搬送にかかる費用
- 霊柩車の使用料金
- 遺体の安置費用
- ドライアイスなどの遺体保全に必要な費用
- 棺や骨壺などの葬具費用
- 最低限の祭壇費用
- 寺院への読経料
また、火葬料金は葬祭扶助の主要な項目のひとつです。大阪市営の斎場を利用する場合、生活保護受給者は火葬料金が減免されるケースもあります。火葬場の使用料や火葬の実施にかかる基本的な費用が対象です。
大阪市営の斎場を利用する場合は式場使用料が免除されるため、その分を他の項目に充てることができ、より充実した内容の葬儀を執り行える可能性があります。
支給されない費用
葬祭扶助では、必要最低限の葬儀費用のみが対象となるため、以下のような費用は支給の対象外です。
- 葬儀後の納骨やお墓の購入費用
- 高額な院号や道号が付く戒名
- 豪華な祭壇や装飾
- 会葬礼状や返礼品
- 飲食接待費用
なお、遺影写真の作成費用も原則として対象外ですが、葬儀社によっては基本料金に含めているところもあります。事前に葬儀社に確認しておくとよいでしょう。

大阪市における葬祭扶助の申請方法
葬祭扶助を受けるには、葬儀を執り行う前に必ず申請を行う必要があります。具体的には、以下のとおりです。
- 担当のケースワーカーまたは福祉事務所に連絡する
- 葬祭扶助の申請を行う
- 葬儀社と打ち合わせを行う
- 葬儀を執り行う
- 葬儀費用が支払われる
申請のタイミングを誤ると支給が受けられない場合があるため、正しい手順を理解しておくことが重要です。詳しく解説します。
1. 担当のケースワーカーまたは福祉事務所に連絡する
ご家族が亡くなったら、まず担当のケースワーカーまたは居住区の福祉事務所に連絡します。大阪市では各区に福祉事務所が設置されているため、お住まいの区の福祉事務所へ連絡してください。
ケースワーカーが既に担当している場合は、直接ケースワーカーに連絡することでスムーズに手続きを進められます。ケースワーカーは葬祭扶助の申請手続きについて詳しく説明してくれますし、必要書類の準備や葬儀社の紹介などもサポートしてくれます。
この連絡は、葬儀社に連絡する前に行うことが重要です。先に葬儀社と契約してしまうと、後から葬祭扶助が認められない場合に自己負担が発生するリスクがあります。必ず福祉事務所への連絡を最優先で行いましょう。
連絡する際には、故人の氏名や死亡日時、死亡場所や申請者(喪主)との続柄などの基本情報を伝えます。また、故人や申請者が生活保護を受給していることを明確に伝えてください。
2. 葬祭扶助の申請を行う
福祉事務所との連絡後、葬祭扶助の申請書を提出します。申請書は福祉事務所で入手できますし、ケースワーカーが持参してくれる場合もあります。死亡届の提出と同時期に、葬祭扶助の申請も行うのが一般的な流れです。
申請書には、申請者(喪主)の情報と故人の情報、葬儀予定日や葬儀社の情報などを記入します。この時点で葬儀社を決定しておく必要があるため、福祉事務所から紹介を受けるか、福祉葬の実績がある葬儀社を自分で探しておいてください。
申請に必要な書類は以下の通りです。
- 葬祭扶助申請書
- 死亡診断書または死体検案書のコピー
- 申請者(喪主)の生活保護受給証明書
- 葬儀見積書(葬儀社が作成)
- 申請者の印鑑
- 故人と申請者の関係を証明する書類(戸籍謄本など)
書類が揃ったら、福祉事務所の窓口に提出します。必要書類は自治体によって若干異なる場合があるため、事前に福祉事務所に確認しておくと安心です。
3. 葬儀社と打ち合わせを行う
福祉事務所が申請内容を審査し、受理されると葬祭扶助が認められます。認められた後、葬祭扶助の範囲内で執り行える内容について、葬儀社と詳細を打ち合わせる流れです。
打ち合わせでは、以下の内容を決定します。
- 葬儀の日程
- 式場の有無
- 火葬場の選定
- 読経の希望
- 祭壇の内容 など
葬儀社は葬祭扶助の基準額を熟知しているため、その範囲内で最適なプランを提案してくれます。この時、追加費用が発生しないかどうかを明確に確認することが重要です。「葬祭扶助の範囲内で喪主の負担は一切ない」と約束してくれる葬儀社を選びましょう。
市区町村役場に死亡届を提出し、火葬許可証を取得する手続きも必要です。この手続きは葬儀社が代行することが一般的ですが、自分で行うこともできます。
4. 葬儀を執り行う
打ち合わせで決定した内容に基づいて葬儀を執り行います。葬祭扶助では火葬のみの直葬が基本ですが、葬儀社によっては簡素な通夜や告別式を含めたプランを提供している場合もあります。
大阪市営の斎場または提携している火葬場で火葬を執り行う流れです。火葬後は骨上げを行い、遺骨を骨壺に納めます。親族や知人が参列できるよう、簡単なお別れの時間を設けることも可能です。
葬儀当日は葬儀社のスタッフが進行をサポートしてくれます。わからないことがあれば、その場でスタッフに質問すれば丁寧に教えてもらえます。
5. 葬儀費用が支払われる
葬儀終了後、葬儀社から福祉事務所に請求が行われ、費用が直接支払われます。喪主が費用を立て替える必要はなく、原則として自己負担も発生しません。
支払いまでには通常1〜2か月程度かかる場合がありますが、これは葬儀社と福祉事務所の間での手続きであり、喪主が関与する必要はありません。葬儀社が全ての請求手続きを代行してくれます。
申請に必要な書類
葬祭扶助の申請には複数の書類が必要です。事前に準備しておくことでスムーズに手続きを進められます。
葬祭扶助申請書は福祉事務所で入手できます。申請者の氏名と住所、故人との続柄や葬儀予定日などを記入する書式です。ケースワーカーが記入方法を教えてくれるので、わからない点があれば相談しましょう。
申請には以下の書類が必要です。
- 死亡診断書または死体検案書のコピー
- 申請者(喪主)の生活保護受給証明書
- 葬儀見積書
- 申請者の印鑑(認印で可)
区によっては、故人と申請者の関係を証明する書類(戸籍謄本など)が必要な場合もあります。親子関係や配偶者関係を証明するために、戸籍謄本や住民票を求められることがあります。
必要書類は自治体や個別のケースによって若干異なる場合があるため、事前に福祉事務所に確認しておくと安心です。
申請のタイミングに注意
葬祭扶助は必ず葬儀を執り行う前に申請する必要があります。これは葬祭扶助制度の最も重要なルールのひとつです。すでに葬儀を終えた後に申請しても、原則として支給は受けられません。
この事前申請の原則は、葬祭扶助が「これから執り行う葬儀の費用を支援する制度」であることに由来します。すでに支払いが完了した費用について、後から補填する制度ではないのです。
ご家族が亡くなったら、葬儀社に連絡する前に、まず福祉事務所またはケースワーカーに相談することが大切です。「とりあえず葬儀社に連絡して、後から福祉事務所に相談すればいい」という考えは危険です。
先に葬儀社と契約してしまうと、その契約内容が葬祭扶助の基準を超えている場合、超過分は自己負担となってしまいます。また、葬儀社によっては葬祭扶助に対応していないところもあるため、後からトラブルになる可能性があります。
ただし、夜間や休日など、福祉事務所が閉まっている時間帯にご家族が亡くなった場合はどうすればよいのでしょうか。その場合は、24時間対応している葬儀社に連絡し、遺体の搬送と安置だけを依頼します。そして、翌営業日の朝一番で福祉事務所に連絡し、葬祭扶助の申請手続きを開始してください。
多くの葬儀社は、生活保護受給者であることを伝えれば、葬祭扶助の申請が完了するまで正式な契約を待ってくれます。遺体の安置は先に行い、葬儀の内容や日程は申請が受理されてから決定する流れが一般的です。
大阪市での葬儀社の選び方
生活保護葬儀を執り行う際、葬儀社選びは非常に重要です。福祉葬に不慣れな葬儀社に依頼すると、トラブルが発生する可能性もあるため、慎重に選ぶ必要があります。それぞれ詳しく見てみましょう。
福祉葬の実績が豊富な葬儀社を選ぶ
大阪市内には福祉葬に力を入れている葬儀社が多数あります。福祉葬の実績が豊富な葬儀社は、申請手続きにも慣れており、スムーズに葬儀を進めることが可能です。
福祉葬の経験が豊富な葬儀社は、葬祭扶助の基準額や対象範囲を熟知しています。その範囲内で最大限充実した内容の葬儀を提案してくれるため、故人を心を込めて送れるでしょう。
また、福祉事務所との連携もスムーズです。申請書類の作成や見積書の提出、費用の請求手続きなど、煩雑な手続きを代行してくれるため、喪主の負担が軽減されます。
葬儀社を選ぶ際は、「福祉葬の実績は豊富ですか」「年間どれくらいの福祉葬を執り行っていますか」などと直接質問してみるとよいでしょう。実績が豊富な葬儀社であれば、具体的な数字や事例を示して説明してくれます。
福祉事務所から葬儀社を紹介してもらうのもひとつの方法です。福祉事務所は地域の葬儀社の情報を把握しており、福祉葬に対応できる信頼できる葬儀社を紹介してくれます。
事前相談を活用する
多くの葬儀社では、事前相談を無料で受け付けています。生活保護を受給している方は、万が一に備えて事前に相談しておくと安心です。
事前相談では、葬祭扶助でどのような葬儀ができるのか、必要な手続きは何か、申請のタイミングはいつかなどを詳しく説明してもらえます。実際の見積書を作成してもらい、具体的な内容を確認することもできます。
事前相談は何度でも無料で受けられますし、複数の葬儀社を比較することも可能です。対応の丁寧さや説明のわかりやすさ、提案内容の充実度などを比較して、信頼できる葬儀社を選びましょう。
事前に相談しておくことで、万が一の際に慌てずに対応できます。「あの葬儀社に連絡すればいい」と決まっていれば、精神的な負担も軽減されます。
事前相談の際には、葬儀社の対応を見極めることも重要です。生活保護を受給していることを伝えた時の反応、説明の丁寧さ、質問への回答の的確さなどをチェックしましょう。
追加費用が発生しないか確認する
悪質な葬儀社の中には、葬祭扶助の範囲外のサービスを勧めて、後から追加費用を請求するケースもあります。「葬祭扶助の範囲内で喪主の負担は一切ない」と明確に約束してくれる葬儀社を選びましょう。
契約前に、「葬祭扶助の範囲を超える費用は一切発生しませんか」と明確に確認してください。良心的な葬儀社であれば、書面で「喪主の負担0円」を保証してくれます。
見積書の内容もしっかり確認しましょう。見積書に記載されている項目がすべて葬祭扶助の範囲内であるか、追加料金が発生する可能性のある項目はないかをチェックします。
もし契約後に「このオプションを追加しませんか」などと勧誘された場合は、きっぱりと断るようにしてください。葬祭扶助の範囲内で十分に故人を送ることができます。追加のサービスが必要だと感じても、まずは福祉事務所のケースワーカーに相談しましょう。
まとめ
大阪市では、生活保護を受給している方でも葬祭扶助制度を利用することで、経済的負担なく故人を送ることができます。制度を正しく理解し、適切な手続きを踏むことが重要です。
また、大阪市は福祉葬に対応できる葬儀社が充実しており、市営斎場も利用できます。事前相談を活用し、万が一に備えて準備しておくことで、いざという時に慌てずに対応できるでしょう。
故人を心を込めて送ることは、経済状況に関わらず全ての人に認められた権利です。葬祭扶助制度を上手に活用し、尊厳ある最期のお別れを実現しましょう。不明な点があれば、遠慮なく福祉事務所や葬儀社に相談してください。
強引な営業は一切致しません。
後悔のないご葬儀にするためにも、
事前相談がお勧めです。








