堺市で生活保護を受けている方の葬儀｜葬祭扶助制度を活用した福祉葬を解説

生活保護葬（福祉葬・民生葬）とは

生活保護葬とは、生活保護法第18条に基づく葬祭扶助制度を利用して行う葬儀のことです。福祉葬や民生葬とも呼ばれ、生活保護受給者が亡くなった場合、または生活保護受給者が喪主となる場合に適用されます。

この制度は、経済的に困窮している方でも人としての尊厳を保ちながら故人を見送れるよう設けられています。堺市では、葬祭扶助により必要最小限の葬儀を実質0円で執り行うことが可能です。

ただし、支給される内容は火葬に必要な最低限のものに限られます。一般的な葬儀のような祭壇設置や会食は含まれませんが、故人を偲ぶ心があれば、形式にとらわれない温かいお見送りができるでしょう。生活保護を受けている方も、この制度を利用することで、大切な人を適切に見送ることができるのです。

堺市での葬祭扶助の対象者と適用条件

堺市で葬祭扶助が適用されるのは、主に2つのケースです。

第一に、生活保護受給者が亡くなり、葬儀を執り行う扶養義務者も生活保護を受給している、または困窮している場合。第二に、身寄りのない生活保護受給者が亡くなった場合です。

ただし、故人や扶養義務者に葬儀費用を賄える資産がある場合は適用されません。

葬祭扶助の支給額

堺市における葬祭扶助の支給額は、大人の場合で約20万円前後、子どもの場合で約16万円前後となっています。この金額は国の基準に基づいて設定されており、実際の支給額は葬儀にかかった実費のみです。

支給される費用には、病院や自宅から火葬場までの搬送費や火葬料、骨壺代や死亡診断書の文書料などが含まれます。葬祭扶助は最低限必要な火葬を行うための費用であることを理解し、その範囲内で故人を見送ることが大切です。

葬祭扶助に含まれる内容

葬祭扶助で支給される内容は、火葬に必要な最低限のものに限定されています。具体的には、ご遺体の搬送費用（病院や自宅から火葬場まで）、納棺に必要な棺や仏衣、火葬に必要な費用、骨壺や骨箱などです。

一方で、以下の項目は支給対象外です。

• 通夜や告別式の会場使用料
• 祭壇の設置費用
• 僧侶へのお布施
• 会食費
• 香典返し
• 花祭壇や供花
• 遺影写真の加工費用 など

葬祭扶助はあくまでも火葬を行うための必要最小限の費用であり、一般的な葬儀で行われる儀式的な要素は自己負担となることを理解しておく必要があります。

堺市での葬祭扶助申請の手続きと流れ

葬祭扶助の申請は、必ず葬儀を行う前に行わなければなりません。まず、ご逝去後すぐに堺市の各区役所の生活援護課または市役所の生活援護管理課に連絡し、葬祭扶助の申請意思を伝えます。

申請に必要な書類は、死亡診断書または死体検案書、申請者の身分証明書、印鑑、故人の生活保護受給者証、申請者と故人の関係を証明する書類（戸籍謄本など）です。これらの書類を揃えて、福祉事務所で正式な申請手続きを行ってください。

申請が受理されたら、生活保護葬に対応している葬儀社と打ち合わせを行い、葬儀の日程や内容を決定します。葬儀終了後、葬儀社から堺市へ直接費用が請求されるため、申請者が費用を立て替える必要はありません。

手続きは複雑に思えるかもしれませんが、葬儀社や福祉事務所のサポートを受けながら進めることができます。

生活保護葬を行う際の注意点

生活保護葬を利用する際は、いくつかの重要な注意点があります。葬祭扶助は火葬に必要な最低限の費用のみが対象となるため、一般的な葬儀とは異なることを理解しておく必要があります。申請のタイミングや葬儀社選びなど、事前に知っておきましょう。

経験豊富な葬儀社を選ぶ

生活保護葬を円滑に進めるためには、制度に精通した葬儀社を選ぶことが重要です。堺市内には生活保護葬の実績が豊富な葬儀社が複数あり、葬祭扶助の申請サポートから葬儀の執行まで、一貫して対応してくれます。

経験豊富な葬儀社は、葬祭扶助の範囲内で最大限のサービスを提供する方法を熟知しています。また、申請手続きのアドバイスや必要書類の準備支援なども行ってくれるため、初めての方でも安心して任せることができるでしょう。

事前相談は無料で受け付けている葬儀社が多いので、複数社に問い合わせて対応を確認することをおすすめします。

オプションなどは自己負担になる

葬祭扶助で支給される範囲を超えるサービスを希望する場合、その費用は全額自己負担となります。例えば、祭壇の設置や僧侶の読経、会食の手配や返礼品の準備などは葬祭扶助の対象外です。

また、棺や骨壺をグレードアップしたい場合や、遺影写真の加工を希望する場合も追加費用が発生します。これらのオプションを利用する場合は、事前に費用を確認し、支払い能力があるかどうかを慎重に検討しなければなりません。葬儀社によっては、比較的低価格でオプションサービスを提供している場合もあるため、相談してみるとよいでしょう。

申請は葬儀前にしなければならない

葬祭扶助の申請で最も重要な点は、必ず葬儀を行う前に申請しなければならないということです。葬儀を行った後に申請しても、葬祭扶助は支給されません。これは制度上の決まりであり、例外は認められていないため注意が必要です。

ご逝去後は様々な手続きで慌ただしくなりますが、まず最初に福祉事務所に連絡を取ることが大切です。土日祝日や夜間の場合でも、翌開庁日の朝一番に連絡を取り、葬儀の日程を調整する必要があります。葬儀社に連絡する際も、葬祭扶助を申請予定であることを必ず伝え、申請が完了してから葬儀を執り行うようにしましょう。

葬祭扶助に含まれない項目がある

葬祭扶助の支給内容を正しく理解しておくことは、後のトラブルを避けるために重要です。前述のとおり、葬祭扶助は火葬に必要な最低限の費用のみが対象であり、一般的な葬儀で行われる多くのサービスは含まれません。

具体的には、以下の項目は葬祭扶助の対象外です。

• 式場使用料
• 祭壇設置費
• 供花代
• お布施
• 戒名料
• 会食費
• 香典返し
• 49日法要費用 など

また、遺体の長期保管が必要な場合の追加保管料や、遠方への搬送が必要な場合の追加搬送費も対象外です。これらの費用が必要な場合は、別途準備する必要があることを理解しておきましょう。

香典の取り扱いに注意しなければならない

生活保護葬でも香典を受け取ることは可能ですが、その取り扱いには注意が必要です。受け取った香典は収入として扱われるため、原則として福祉事務所に報告する必要があります。多額の香典を受け取った場合、生活保護費の返還を求められる可能性もあるため注意しましょう。

また、香典返しは葬祭扶助の対象外となるため、香典を受け取った場合の返礼品は自己負担で準備する必要があります。経済的に香典返しが困難な場合は、事前に香典を辞退する旨を案内状に明記することもひとつの方法です。香典の取り扱いについて不明な点がある場合は、必ず福祉事務所に相談してから判断してください。

不安が残る場合は堺市の相談窓口を活用しましょう

生活保護葬について不安や疑問がある場合は、一人で悩まず、堺市の相談窓口を積極的に活用しましょう。各区役所の生活援護課では、葬祭扶助に関する相談を随時受け付けており、制度の詳細や申請方法について丁寧に説明してもらえます。

また、堺市社会福祉協議会でも生活困窮者向けの相談支援を行っています。民生委員も身近な相談相手として頼ることができ、地域の実情に応じたアドバイスを受けることも可能です。

葬儀社の中には24時間365日対応の無料相談窓口を設けているところもあり、急な場合でも相談できる体制が整っています。事前に相談しておくことで、いざという時に慌てることなく適切な対応ができるでしょう。

まとめ

堺市における生活保護葬は、葬祭扶助制度を利用することで、経済的な負担なく故人を見送ることができる大切な制度です。火葬に必要な最低限の内容に限られますが、故人を偲ぶ気持ちがあれば、形式にとらわれない心のこもった葬儀を行うことができます。

重要なのは、葬儀前に必ず申請を行うこと、経験豊富な葬儀社を選ぶこと、葬祭扶助の範囲を正しく理解することです。不安な点があれば、堺市の相談窓口や葬儀社の事前相談を活用し、適切な準備を整えておくことをおすすめします。生活保護を受けている方も、この制度により人としての尊厳を保ちながら、大切な人を見送ることができるのです。