摂津市で生活保護を受けている方の葬儀「福祉葬・民生葬」を解説

摂津市の生活保護受給者のための葬儀制度とは

摂津市では、生活保護法第18条に基づく葬祭扶助制度により、生活保護受給者の方々が経済的負担なく葬儀を執り行えるよう支援しています。この制度は、憲法で保障される「健康で文化的な最低限度の生活」の一環として、人間の尊厳を保った葬儀を可能にするものです。

葬祭扶助は、故人が生活保護受給者であった場合、または喪主が生活保護受給者である場合に適用されます。摂津市保健福祉部 生活支援課が窓口となり、申請から葬儀執行まで一貫したサポートを提供しています。制度を利用することで、火葬に必要な最低限の費用が支給され、遺族の経済的負担を大幅に軽減できるでしょう。

福祉葬・民生葬の概要と特徴

福祉葬、民生葬、生活保護葬はすべて同じ葬祭扶助制度を利用した葬儀です。摂津市では、これらの葬儀を通じて、火葬に必要な最低限のサービスが提供されます。

基本的には火葬式の形式となり、遺体の搬送や棺、骨壺や火葬料金などが含まれます。豪華な祭壇や会食は含まれませんが、故人を送るための基本的な儀式は執り行うことが可能です。宗教的な儀式についても、一定の範囲内で対応可能です。

一般的な葬儀との違い

一般的な葬儀と比較すると、福祉葬・民生葬では使用できる設備やサービスに制限があります。例えば、祭壇は簡素なものとなり、供花や供物も最小限に抑えられます。通夜や告別式は簡略化され、会食や返礼品は含まれません。

しかし、遺族が故人とお別れをする時間は確保される点は変わりません。火葬後の骨上げも通常通り行われ、基本的な葬送儀礼は守られています。制限はありますが、心のこもった葬儀を執り行うことは十分可能です。

摂津市での葬祭扶助の申請条件

葬祭扶助を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

第一に、亡くなった方が生活保護を受給していた場合です。この場合、遺族の経済状況に関わらず葬祭扶助の対象となります。

第二に、葬儀を執り行う喪主が生活保護受給者である場合です。また、故人または喪主の住民票が摂津市にあることも条件となります。

扶養義務者がいる場合でも、その方に葬儀費用を負担する能力がなければ、葬祭扶助を受けることができます。気になる場合は相談窓口で相談してみるといいでしょう。

葬祭扶助の支給内容

葬祭扶助に含まれる主な内容は、以下のとおりです。

• 遺体の搬送費用（病院や自宅から火葬場まで）
• 火葬料金
• 骨壺・骨箱
• 棺
• ドライアイス
• 死亡診断書や火葬許可証の手続き費用

摂津市では、大人の場合は215,000円、子どもの場合は172,000円が上限です。この範囲内で、火葬に必要なすべての基本的なサービスが提供されます。なお、支給額は物価変動により見直されることがあるため、注意が必要です。

葬祭扶助に含まれない内容

葬祭扶助に含まれない内容として、次のものが該当します。

• 通夜振る舞いや精進落としなどの会食費用
• 香典返しや返礼品
• 読経料や戒名料などの宗教的費用（一部例外あり）
• 生花や供物（最低限のもの以外）
• 遺影写真の作成費用
• 特別な祭壇の設置費用 など

また、納骨に関する費用も含まれません。これらが必要な場合は自己負担となるため、事前に葬儀社と相談し、予算内でできることを明確にすることが重要です。

摂津市での福祉葬の申請方法と流れ

福祉葬・民生葬を利用するためには、適切な手続きを踏む必要があります。まず、医師から死亡診断書を受け取ってください。次に、摂津市福祉・保護課に連絡し、葬祭扶助の申請意思を伝えます。担当のケースワーカーがいる場合は、その方に直接連絡しましょう。夜間や休日の場合は、翌開庁日の朝一番に連絡します。

並行して、福祉葬・民生葬に対応している葬儀社を選定し、手配を進めてください。申請から葬儀執行まで、各段階で必要な手続きがあります。それぞれ詳しく確認していきます。

死亡診断書を受け取って市役所へ行く

医師から死亡診断書を受け取ったら、速やかに摂津市役所の福祉・保護課へ向かいます。死亡診断書は後の手続きで必要となるため、大切に保管してください。

市役所では、葬祭扶助の申請について説明を受けます。夜間や休日の場合は、守衛室で緊急連絡先を確認できます。担当職員が申請手続きをサポートしてくれるため、分からないことは遠慮なく質問してください。

葬儀社の選定と手配を行う

福祉葬・民生葬に対応している葬儀社を選定します。摂津市内には複数の対応可能な葬儀社があり、福祉・保護課でも紹介を受けられます。

葬儀社には必ず「福祉葬・民生葬での対応」を伝えてください。経験豊富な葬儀社であれば、制度の詳細を理解しており、適切なプランを提案してくれるためです。

遺体の搬送も葬儀社が手配します。病院や自宅から安置施設または火葬場への搬送費用も葬祭扶助に含まれているため、安心して葬儀社に任せましょう。

申請書類を用意して提出する

福祉・保護課での申請には、以下の書類が必要です。

• 死亡診断書
• 申請者の身分証明書
• 印鑑
• 生活保護受給者証

申請書は福祉・保護課で用意されており、担当職員が記入方法を説明してくれます。故人の情報や申請者の情報、葬儀社の情報などを正確に記入してください。書類提出後、審査が行われます。緊急性を考慮して迅速に審査され、承認が下りれば葬儀社に連絡が行き、葬儀の準備が本格的に始まるという流れです。

葬儀を執り行う

葬祭扶助が承認されたら、葬儀社と相談して火葬の日程を決定します。摂津市の斎場または近隣の火葬場を利用することになるため、十分打合せをしてください。

火葬当日は、簡素ながらも心のこもったお別れの時間が設けられます。宗教者を呼ぶ場合は、事前に葬儀社と相談が必要です。火葬後は遺族で骨上げを行い、葬祭扶助で支給される骨壺に納めます。その後、埋葬許可証が発行され、納骨の準備が整うという流れになります。

福祉葬・民生葬を行う際の注意点

福祉葬・民生葬を利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。

• 申請は葬儀の前にしなければならない
• 香典は原則遺族が受け取れる
• 読経料・玉串料は葬祭扶助には含まれない
• 葬儀後にも手続きがある

それぞれに注意すべきポイントがあります。特に申請時期については厳格なルールがあるため、必ず確認が必要です。トラブルを避けるためにも、これらの注意点を把握しておきましょう。

申請は葬儀の前にしなければならない

葬祭扶助の申請は、必ず葬儀を執り行う前に行わなければなりません。事後申請は原則として認められないため、亡くなった直後に福祉・保護課へ連絡することが重要です。夜間や休日の場合でも、最初の開庁日に速やかに申請すれば問題ありません。

葬儀社にも事前に福祉葬・民生葬であることを伝え、申請が承認されるまで葬儀の執行を待ってもらう必要があります。

香典は原則遺族が受け取れる

福祉葬・民生葬でも、親族や知人から香典をいただくことがあります。香典は原則として遺族が受け取ることができます。ただし、生活保護受給者が香典を受け取った場合、収入認定される可能性があるため、福祉・保護課への報告が必要です。

多額の香典を受け取った場合は、生活保護費の調整が行われることもあります。香典返しは葬祭扶助に含まれないため、自己負担となります。経済的に厳しい場合は、香典返しを辞退する旨を事前に伝えることも一つの方法です。

読経料・玉串料は葬祭扶助には含まれない

宗教的な儀式を希望する場合、読経料や玉串料などの宗教者への謝礼は、基本的に葬祭扶助には含まれません。どうしても宗教儀式を希望する場合は、最小限の費用で対応してくれる宗教者を探す必要があります。

一部の寺院や教会では、経済的に困窮している方のために、無償または低額で葬儀を執り行ってくれる場合もあります。菩提寺がある場合は、事情を説明して相談しておきましょう。宗教的な儀式を含める場合は、事前に費用を確認しておくことが大切です。

葬儀後にも手続きがある

葬儀が終わった後も、いくつかの重要な手続きが必要です。市役所で埋葬許可証を受け取り、納骨の準備をします。納骨費用は葬祭扶助に含まれないため、市営墓地や寺院の墓地、納骨堂などを自分で手配する必要があります。

生活保護受給者だった方の遺品整理や部屋の片付けも必要です。家財道具の処分費用について、一部の補助が受けられる場合もあるため、福祉・保護課に相談してください。各種名義変更や解約手続きなども忘れずに行いましょう。

まとめ

葬祭扶助制度により、経済的負担なく人間の尊厳を保った葬儀を執り行うことができます。申請は必ず事前に行い、摂津市福祉・保護課と連携しながら手続きを進めることが重要です。

制限はありますが、心のこもった葬儀は十分可能です。この制度は日本国民全員の正当な権利であり、必要な方は遠慮なく利用してください。困ったときは一人で悩まず、市の担当部署に相談しましょう。