箕面市(みのおし)は、大阪府北部の北摂豊能地域に位置する市です。1956年に市制が施行され、以来、都市化が進む一方で、豊かな自然も保たれています。箕面市は、大阪都市圏のベッドタウンとして発展し、特に南部には高級住宅地が広がり、多くの市民が暮らしています。西南部には伝統的な住宅地があり、東南部には新興住宅地が広がっています。市の西部では国際文化公園都市(彩都)の開発が進行中であり、箕面市内の地域もその影響を受けて発展を遂げています。
箕面市の地形は変化に富んでおり、市の西南部には箕面川が南西方向に流れ、これに沿って阪急電鉄箕面線が走っています。中南部には千里川が西へ、東南部には勝尾寺川が東へと流れ、周囲の自然と調和しています。また、北部は山岳地帯で、箕面大滝や勝尾寺、瀧安寺などの観光名所が点在し、明治の森箕面国定公園として自然が保護されています。北部の止々呂美(とどろみ)地区には集落がありますが、市の南部とは山によって隔てられており、長い間アクセスが困難でした。しかし、2007年に箕面グリーンロード(箕面有料道路)が開通し、市の南部や大阪都心へのアクセスが大幅に改善されました。この道路の開通とともに、箕面森町の建設も進み、2007年に新しい街が誕生しました。
箕面市の人口は、平成22年の国勢調査では129,895人で、前回の調査から2.17%増加しています。この人口増加率は大阪府内の43市町村中6位、全国の72行政区域中18位という比較的高い順位に位置しています。
箕面市の歴史は古く、紀元前後から3世紀頃には米作りが始まり、集落が形成されました。奈良時代以降、市内南部を山陽道が通るようになり、交通の要所として発展しました。鎌倉時代には宿場町としても栄え、江戸時代には酒造米の生産を中心に農業が発達しました。また、山岳地帯では果樹生産と製炭が盛んに行われていました。明治時代初期には一時兵庫県に属していましたが、明治4年には大阪府に編入され、箕面山が大阪府立箕面公園となりました。さらに、明治43年には阪急電鉄が開通し、住宅地が次々と開発され、人口も増加しました。そして、昭和23年には町制が施行され、昭和31年に箕面市が誕生しました。以降、40年間で人口は12万5千人に達し、平成18年には市制施行50周年を迎えました。箕面市は、「緑・住みやすさ最先端」を目指し、自然と共存する住宅都市として現在も発展を続けています。
箕面市の農業は、稲作や野菜、果物の栽培が中心です。農業産出額は約3億4,000万円で、そのうち約1億2,000万円がお米、約1億円が野菜によるものです。北部の止々呂美地区では、山椒や枇杷が特産品として人気があり、市内外の多くの人々に親しまれています。また、箕面市内では定期的に朝市が開催され、地元で生産された農産物が市内で消費される「地産地消」の取り組みも行われています。さらに、市民農園やシェア農園が市内に設置されており、市民が農業を気軽に体験できる環境が整っています。箕面市は海には面していませんが、渓流釣りやバーベキューが楽しめる「止々呂美ふれあい広場」などのレジャースポットもあります。
工業に関しては、箕面市内には約30の製造業の事業所があり、「電気機械器具製造業」「繊維工業」「プラスチック製品製造業」などが主な業種となっています。ただし、工業用地は市内にほとんどなく、箕面市は住宅都市としての性格が強いです。交通の便が良いため、大阪国際空港や新大阪駅、各高速道路へのアクセスも便利であり、大阪のベッドタウンとしての役割を果たしています。近年の住宅地平均価格においても、大阪府内で上位にランクインしており、住みやすさが評価されています。
商業面では、箕面市の中心地には商業施設が集まっており、特に阪急電鉄箕面駅周辺には、飲食店やファッション関連の店舗が立ち並んでいます。また、昔ながらの商店街も複数存在し、地域の商業活動を支えています。箕面駅前の「みのお本通り商店街」では、定期的にイベントが開催され、地域の活性化に貢献しています。さらに、大阪船場繊維卸商団地には、繊維関連の卸売業者が集まっており、他市には見られない独特な商業地が形成されています。
教育面では、箕面市内には13の小学校と7の中学校があります。特に、止々呂美小学校・止々呂美中学校が統合されてできた箕面市立止々呂美小中一貫校「とどろみの森学園」や、彩都地区に新設された「彩都の丘学園(箕面市立彩都の丘小・中学校)」など、施設一体型の小中一貫校が特徴です。また、市内には「箕面自由学園」という私立学校もあり、地域の教育環境は充実しています。
交通面では、阪急電鉄箕面線が大阪市内とのアクセスを担っています。さらに、箕面市に隣接する豊中市には北大阪急行電鉄の千里中央駅が、吹田市には阪急電鉄の北千里駅があり、これらの駅から箕面市内への交通も便利です。北大阪急行電鉄の延伸計画により、箕面市内に新たな駅が設けられる予定で、これによりさらに交通の利便性が向上する見込みです。また、大阪モノレール彩都線が箕面市の豊川地区や粟生間谷地区を通過しており、彩都西駅へのアクセスが可能です。箕面市にはモノレールの駅はありませんが、近隣の駅を利用する市民も多く、都市交通が整備されています。
観光・レジャー面では、箕面市は自然豊かな観光地としても知られています。特に、箕面大滝は「日本の滝百選」にも選ばれており、四季折々の風景が楽しめるスポットです。夏には新緑が美しく、秋には紅葉が見事です。また、「もみじの天ぷら」というご当地グルメも有名で、箕面市を訪れる観光客に人気があります。同じく箕面国定公園内には、歴史ある勝尾寺があります。勝運祈願の寺として知られ、多くの参拝者が訪れています。特に受験生やスポーツ選手など、勝負にこだわる人々にとっては、必訪の場所となっています。
箕面市は、自然と都市が共存する住みやすい都市であり、交通の便が良く、大阪都心へのアクセスも便利です。これからも、箕面市はその魅力を活かしながら、さらなる発展を遂げていくことでしょう。